■三叉神経痛
●顔面に激しい痛みの症状
三叉神経痛の特徴は、何といっても発作的に起こる顔面の激しい痛みです。軽く触れたり、風が当たったり口を動かしただけでも激痛が起こります。一回の発作は5~20秒で、長くとも2分以上続くことはありませんが、その痛みは強烈です。顔が洗えない、歯が磨けない、食事ができないなど、日常生活に支障をきたしてしまう三叉神経痛ですが、痛む部分が腫れたりというような外見上の変化は全くありません。また、眠っているときには痛みの発作は起こりません。
●三叉神経の支配領域でしか起こらない
三叉神経痛の特徴は、三叉神経の支配領域でしか痛みが起こらないということです。三叉神経は、顔の前面にある神経で、首や頭の後ろ側が痛い場合は、三叉神経痛ではないということになります。また、痛みは顔の中心を境に右か左かどちらか一方にしか起こりません。
●神経ブロックなら完全に痛みを取ることが可能
神経ブロック療法で完全に痛みを取ることが可能です。それも、一度ブロックすればすぐに痛まなくなるのが特徴です。三叉神経は名前のとおり三本あり、それぞれ顔のどの部分の刺激伝達を担当するかが決まっています。この三本の三叉神経はさらに枝分かれしていて、目のあたり、口のあたりなど、顔のもっと細かい部分に通じています。そのどの部分の痛みを取るかによって、三叉神経のブロック法は六種類に大別されます。眼窩上神経ブロック、眼窩下神経ブロック、上顎神経ブロック、下顎神経ブロック、おとがい神経ブロック、ガッセル神経節ブロックです。それぞれの神経ブロックやその組み合わせ、高周波熱凝固法を組み合わせることで、三叉神経痛のほとんどの痛みは取り去ることができます。
■顔面神経麻痺
●ベル麻痺とハント症候群
顔面神経麻痺には、ベル麻痺とハント症候群があります。ベルマヒは、片方の頬が腫れぼったい、水を飲もうとすると口からこぼれてしまう、片方の目が閉じないというような症状が、ある日突然起こります。顔面神経麻痺のほとんどがベル麻痺です。ハント症候群は、水痘帯状疱疹ウイルスが顔の神経に炎症を起こすのが原因の顔面麻痺で、顔の異常に気がつく前に耳のまわりや後頭部が痛むことがあります。また、耳に痛みを伴う水疱ができる、めまいがする、涙が出にくくなる、逆に涙が出てしかたがない、味覚がなくなってしまう、小さい音が耳の中で大きく響くといった症状があらわれたりもします。その他、外傷や腫瘍、中耳炎の手術などが原囚で起こる顔面マヒもあります。
■顔面けいれん
●自分では止められない顔面のけいれん
顔の筋肉が勝手にぴくぴくとけいれんするのが顔面けいれんです。最初は下まぶたから、続いて上まぶたへ、それが次第に頬に広がり、三ヵ月から半年すると口がひきつれるようになります。さらにひどくなると、一時的にまぶたが閉じてきます。けいれんは緊張したり、人に会ったり、急に明るいところへ出たり、疲れたとき、寝不足のとき、さらに寝ている間にも起こります。けいれんするだけで痛みはありません。三叉神経痛と似ており、たいていは右か左どちらか片方しかけいれんを起こしません。
■舌やのどの神経痛
●舌咽神経痛
舌咽神経は、のどちんこの周囲の感覚を司っており、やはり脳幹に近い丸裸電線状態の部分で血管が接触し神経痛を生じます。痛みは会話・食事・嚥下(飲み込み)・咳で誘発され、特に冷たいものを飲むと痛みがひどいといわれます。