■首・肩・腕の痛み

●痛みの原因は多種多様

首、肩、腕の痛みにはさまざまな原因があります。大きくは脊柱、いい換えると首の骨に関連して起こるものと、五十肩に代表されるような肩の関節が原因で起こるものに分けられますが、そのほかに目、耳、鼻の疾患や狭心症や肺疾患などの内科的な病気が関係している場合もあります。症状もいろいろですが、一般には首から肩、腕にかけての痛みやしびれ、手が冷たくなる、などが代表的です。

●代表的な病気

五十肩(肩関節周囲炎)
肩から上腕にかけて自発痛があり、肩関節の運動痛と可動域制限を伴います。40~50歳台以降に発症することが多く、左右差、男女差はありません。夜間、寝返りを打つなど、無意識の体動で強い痛みが起こるので睡眠障害が生じることも多くあります。原因のほとんどは、老化(退行性変化)による腱板、腱、靭帯、関節包、滑液嚢などの炎症や癒着によるものです。
変形性関節症
高齢になればなるほど高頻度に骨関節の変化が認められるが、全てが痛みに関連しているわけではありません。変形性関節症は関節の酷使によって生じ、その痛みは関節周囲の靭帯や腱から起こります。安静時には痛みはあまり強くなく、起き上がるとき、立ち上がるとき、歩行開始時など運動を始めるときに最も強く生じます。
強直性脊椎炎
背部から腰部にかけての凝りや痛み、それに伴う運動制限、仙腸関節部の圧痛、股関節の運動痛などの症状があります。15~35歳位の男性に多く発症し、下肢に末梢性関節炎を合併することがあります。

 

■頸椎椎間板ヘルニア

頸椎およびその周辺は、かなりの重量を持つ頭蓋を支えて、しかも巧緻な動きに対応しておりストレスの多い部位で、痛みを感じる組織が発達している。椎間板線維輪の変性、亀裂などが生じた部位から髄核が後方または後側方へ移動し、硬膜や神経根を圧迫するような状況が生じたものを椎間板ヘルニアといい、それが頸神経領域に生じたものを頸椎椎間板ヘルニアという。症状としては、伸展制限を伴う頸部痛や頸部の運動制限であり、同時に肩甲骨内側や肩、上肢、手指に放散する痛みやしびれが生じます。障害された神経の支配領域に知覚障害や筋萎縮が見られることも多く、腱反射は低下、消失します。

 

■胸郭出口症候群

胸郭出口とは、首と胸の間にある通路で、食道、主要な血管、気管、多くの神経がこの通路を通っています。わずかなスペースを多くの器官が通っているため、腕へ伸びる血管や神経が肋骨とそれを覆う筋肉に圧迫されると問題が起こります。